Disturbingなコンテンツ

閲覧注意。心がかき乱されるような内容です。

植物も苦しむと悲鳴をあげるらしい

f:id:JLD:20240212152111j:image(画像: Ohad Lewin-Epstein)

Disturbingなコンテンツ(特にゴア映画)を見ていると、人や動物の苦痛が伝わる叫び声がよく聞こえる。演技か否かに関わらずそれは視聴者を不安にさせるには十分の要素だろう。しかしどうやら、そうした声をあげるのは人間や動物だけではない可能性がある…

 

※この記事は言うほどDisturbingではないのでご安心ください

※この記事は、I. Khait らによって書かれbioRxivに投稿された学術論文『Plants emit informative airborne sounds under stress』と、これについてのlivescience.comの記事『Plants 'Scream' in the Face of Stress』を元に書いている。

 

植物は動物の襲撃を受けたときなどに変色したり匂いを出したりと何かしらの反応をすることがあるが、今回は特に音(叫び声?)にこだわった話である。

これまでの研究では植物が音に反応することがあることは示唆されていたが、植物自体が音を出すかどうかについては不明であったらしい。そもそも植物って音に反応するのか…

正確には音を出すことは分かっていた。干ばつの被害にあった植物の茎内で気泡が発生し、はじけて音が出たという検証結果がある。しかし、その音というのは茎の内部でしか聞こえないようなものであって、空気中を伝い他の生き物が聞こえるほどの音ではない。気泡の音は人で言うと叫び声というよりは骨折した音に近いだろうか。

しかし2019年12月2日に登場した論文により、イスラエル・テルアビブ大学の実験結果から新たな事実が判明した。ストレスを与えたトマトとタバコの木の近く(10cmほど離れたところ)にマイクを置いていたところ、超音波を拾ったという。当然人間には聞こえないので我々が気づかないはずだ。

実験は更に行われた。ストレスの種類、植物の種類によって反応に違いがあるかを調べたのだ。結論は、あった。干ばつ状態のトマトの木は平均して1時間あたり約35回超音波を発したが、茎を切りつけたものは約25回。干ばつタバコの木は1時間あたり約11回で、切りつけたタバコは約15回の音を出した。ストレスを与えなかった植物は平均して 1 時間あたり 1 回しか発さなかった。

反応が特徴的であったので、機械学習を使ってそれぞれの音を「どの植物が」「どのストレスを受けたときの反応か」で正しく分類することができた。とは言え、この実験で試したストレスは切りつけと乾燥のみであり、病気などその他のストレス反応はまだ不明。また、サボテンの一種やホトケノザでも同じ実験をしたが、一般的に植物全般が音を出すと言い切ることはまだできないだろう。

また、こうした音を人が聞こえなくても虫などが聞いている可能性があり、卵を産みつける植物を見定めるために利用しているのではないかと考える人もいる。もし本当にそんなことをしていたらすごいが、虫はたまに本能ですごいことをする奴がいるので(農業をするアリとか)、あり得なくはないか。

しかし虫のように植物の音を有効に活用しようという考えもある。例えば農家は植物の音を聞くことができれば、どの作物が強い乾燥状態にあるかを知ることができる、とか。なるほど確かに利用できれば便利な気がする。

こうした面白い実験結果や有用性を提示してくれている論文だが、2つ指摘を受けている点がある。1つは植物の音をマイクで拾ったとあるが、果たしてそれは本当に植物の音なのか、他の音が混入しているのではないかという点。そしてもう1つはこの論文が査読されていないという点だ。「This article is a preprint and has not been certified by peer review 」という1文がこの記事を作っている時点で書いてあったので、記事作成時点で4年ぐらいほったらかされていることになる…

 

これらの記事に目を通した印象としては、叫び声というよりは周囲に危険を伝える反応、という感じがする。人間も痛がると叫んでしまうが、それは周囲のために叫んでいるわけではないと思うのでこういった植物の叫びとは根本的に違うのではと思う。

…と思っていたが、人間が叫ぶのも実は周囲に危険を伝えるようにプログラムされた本能だったりして。もしそうだったら人間も植物も同じ目的で叫んでいることになり面白いな…と思った。

もっとも、植物が叫ぶのに別の目的がなければの話だが。